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【受け口(下顎前突)】の治療法を徹底解説!歯科矯正で治る場合と外科矯正が必要な場合の決定的な違い

受け口とは?

私たちが日常的に使う「受け口」や「しゃくれ」という言葉は、歯科医師の専門用語では主に反対咬合(はんたいこうごう)とよばれていて、下顎前突、3級咬合とも呼びます。

イメージ的には「しゃくれ」と「受け口」は微妙に区別されています。

  • 受け口:基本的に歯並びが壊れており、下顎の歯が上顎の歯より前に出ている状態です。
  • しゃくれ:歯並びが逆になっていることに加え、土台となる下顎の骨自体が前方に大きく出てしまっている状態を指し、唇を含めた顔全体が前に出ているように見えます。

受け口とは?

受け口の二つの種類と主な原因

受け口には、大きく分けて「骨格性」と「歯性」の2種類があります。

  1. 骨格性:上顎と下顎の骨格的な前後関係に問題があり、下顎骨自体が前に出ているタイプです。これが最も問題になりやすいケースです。
  2. 歯性:骨格自体には大きな問題がないにもかかわらず、たまたま歯だけが反対に生えてしまっているタイプです。

受け口の二つの種類と主な原因

受け口の四つの主な原因

受け口になる原因は複数ありますが、特に重要な要因が以下の4つです。

骨格的な受け口

  1. 遺伝:骨格性の受け口の場合、9割が遺伝によるものとされています。両親や祖父母が受け口だった場合、その要因は非常に大きくなります。

歯性の受け口

  1. ベロ(舌)の癖:舌の筋肉が下顎の前歯を前に押し続けてしまう癖によって歯だけが反対になってしまうこともあります。
  2. 口呼吸(くちこきゅう):口で呼吸をする際、舌の位置が下がりがちになります。舌が下がると気道(空気の通り道)が狭くなるため、それを補うために下顎を前に出して息をしやすくしようとします。この癖が継続すると、結果的に受け口になることがあります。
  3. 歯の生える角度の問題:たまたま歯が内向きに生えてしまったり、噛み合わせのバランスが崩れたりすることで、上顎の成長が阻害され、下顎が骨ごと成長してしまうことがあります。

受け口を放置するデメリット(リスク)

受け口は直した方が良いとされています。放置した場合、特に以下のようなデメリットが生じる可能性があります。

  1. 審美性の問題(見た目):横顔や口元の見た目に影響します。
  2. 顎の成長への影響:特に子供の場合、たった1〜2本の歯が反対になっているだけでも、それがきっかけとなり下顎の成長が促進され、上顎の成長が抑制されてしまうことがあります。下顎の成長は身長の伸びと同じで、女の子では16歳、男の子では18歳頃まで続きますので、子供の歯性の受け口であっても、早く治すことが非常に重要です。
  3. 咀嚼効率の低下:噛みにくくなり、顎に負担がかかり、体も疲れやすくなります。
  4. 顎関節症のリスク:受け口の方は顎関節症になりやすい傾向があります。
  5. 発音の問題:サ行やタ行の発音がしにくくなることがあり、英語の発音にも影響が出ることがあります。

受け口を放置するデメリット

大人の受け口の治療方法(重症度別)

  • 歯科矯正(歯列矯正):歯並びの悪さを改善し、「噛めるようにする」ことを目的とした治療法です。
  • 外科矯正:顎の位置を引っ込めたい、顔の輪郭を直したいという「顔面骨格」の改善を目的とした治療法です。

大人の受け口の治療方法

歯科矯正で治せる受け口

しゃくれの原因が、上顎と下顎の骨格的な位置関係は比較的良好であるものの、歯の位置関係に問題がある場合、これは歯科矯正の適応となる可能性があります。

症例①

歯科矯正で治せる受け口

症例②

歯科矯正で治せる受け口

外科矯正が必要となる「骨格性の受け口」

一方で、下顎が上顎に対して物理的に前方に突き出ているパターンの場合、歯の矯正(歯科矯正)だけでは根本的な解決はできません。

外科矯正を検討する場合、単に手術を行うだけでは不十分で、骨格の位置関係を作った後も、必ず歯科矯正によって歯並びを整える工程が必要になります。つまり、外科矯正は歯科矯正の追加が必要なセット治療となります。

外科矯正における具体的な術式

骨格性の受け口を改善するための外科的な術式はいくつかありますが、代表的なものとして「セットバック」や「上下顎骨切り」が挙げられます。

  1. セットバック(下顎枝形成術) 下顎の小臼歯(4番または5番)を抜き、前歯が並んでいる部分を後退させる方法です。
  2. 上下顎骨切り術(上顎:Le Fort I型骨切り術、下顎:SSRO/IVROなど) 最もシンプルで効果が高いと一般的に考えられるのは、下顎のみを下げるパターン(SSROなど)です。

まとめ

受け口の治療方法は多種多様であり、患者様のお顔の形態、治療を通じて何を改善したいかという希望、そしてご予算に応じて、適切な手術方法を選択していくことになります。

治療は、「噛めるようになる」という機能的な改善が大前提ですが、ご自身の受け口が「歯列性」なのか「骨格性」なのかを正しく判断し、理想とする輪郭の改善を目指すことが、満足のいく結果への近道となります。

【受け口(下顎前突)】の治療法を徹底解説!歯科矯正で治る場合と外科矯正が必要な場合の決定的な違い