COLUMNMEAW矯正なら歯を抜かずに治せる?仕組み・期間・デメリットを解説

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MEAW矯正なら歯を抜かずに治せる?仕組み・期間・デメリットを解説

青山 健一
著者: 青山 健一 (アオヤマ ケンイチ) (You矯正歯科 大阪梅田院 院長)

MEAW(ミャウ)矯正は、複数のループを組み込んだ特殊なワイヤーを使い、1本ずつの歯の傾き・高さ・前後の位置を細かく調整する矯正方法です。症例によっては、小臼歯を抜かずに歯並びや噛み合わせを整える選択肢になります。

ただし、MEAWを使えば、どのような歯並びでも必ず非抜歯で治せるわけではありません。非抜歯で治療できるかどうかは、歯を並べるスペース、前歯の角度、奥歯の位置、歯槽骨の範囲、上下の顎の骨格、口元の突出感、噛み合わせなどを総合して判断します。

「できれば健康な歯を抜きたくない」「他院で抜歯が必要と言われた」「MEAWなら非抜歯で治せるのか知りたい」という方に向けて、MEAW矯正の仕組み、メリット、治療期間、注意点と限界を解説します。

MEAWワイヤーの形と、歯を三次元的に動かす考え方は動画でもご覧いただけます。

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MEAW矯正とはどのような装置?

MEAWは「Multiloop Edgewise Arch Wire(マルチループ・エッジワイズ・アーチワイヤー)」の略です。通常のワイヤーと異なり、歯と歯の間に複数のループを作ることが大きな特徴です。

ループによってワイヤーに柔軟性が生まれ、歯ごとに異なる力を加えやすくなります。簡単にいえば、歯列全体を一律に動かすのではなく、一つひとつの歯に合わせて細かく調整しやすいワイヤーです。

2020年の系統的レビューでは、MEAWの特徴として、歯を三次元的に個別コントロールしやすいことが報告されています。一方で、研究数とエビデンスの質には限界があり、効果や長期安定性については追加研究が必要とされています。

MEAW矯正なら歯を抜かずに矯正できる?

MEAWによって非抜歯治療の選択肢が広がることはありますが、すべての患者さんを非抜歯で治療できるわけではありません。

歯を並べるスペースが不足している場合、スペースを作る方法には、歯列の幅や形を調整する、奥歯を後方へ動かす、歯の傾きを修正する、歯と歯の間を少量削るIPRを行う、成長期であれば顎の成長を利用する、小臼歯などを抜歯するといった選択肢があります。MEAWは、このうち特に奥歯を含む歯の位置や傾きを細かく調整するために利用されます。

ただし、歯を動かせる範囲には、歯を支える歯槽骨という「骨の枠」があります。スペースが大きく不足している状態で無理に歯を外側へ広げると、前歯が前へ傾く、口元が突出して見える、歯ぐきや歯周組織への負担が増えるといった可能性があります。

You矯正歯科の考え方

You矯正歯科では、「歯を抜かないこと」そのものを治療のゴールにはしていません。大切なのは、健康な歯を残すことと、歯並び・口元・噛み合わせを無理なく両立できるかどうかです。

診断をせずに非抜歯へこだわることも、最初から「スペースがないから抜歯」と決めることも、どちらも慎重に考える必要があります。他院で抜歯を勧められた方や、自分に非抜歯矯正が可能か分からない方は、診断を受けたうえで複数の治療計画を比較しましょう。

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MEAW矯正のメリット

1.歯を三次元的に調整しやすい

MEAWの大きな特徴は、歯を前後に動かすだけではなく、傾きや高さも含めて調整しやすいことです。奥歯を起こす、奥歯の高さを調整する、咬合平面を整える、前歯と奥歯の位置関係を調整するといった、複数の歯の動きを組み合わせる治療で利用されます。

有限要素解析を用いた研究でも、一般的な形状のワイヤーと比べて、MEAWでは歯の移動量のばらつきが小さく、より均一でバランスの取れた動きが示されました。ただし、これは模型上の力学解析であり、実際の治療結果をそのまま保証するものではありません。

2.非抜歯治療を検討できる症例が増える

奥歯を後方へ動かせる、傾いた奥歯を起こせる、歯列の幅や形を無理のない範囲で調整できる、前歯を必要以上に前へ出さずにスペースを確保できるといった条件がそろえば、非抜歯で治療できる場合があります。MEAWは、そのような治療計画を実現する方法の一つです。

3.開咬などの噛み合わせの改善に利用される

MEAWについて比較的多く研究されている症例の一つが、奥歯を噛んでも上下の前歯が接触しない「開咬」です。2024年に報告された成人の開咬患者を対象とする後ろ向き研究では、非抜歯MEAW群と抜歯治療群のいずれでも開咬の改善が認められ、MEAW群は治療期間が短い結果でした。ただし、対象人数が限られた観察研究であり、すべての患者さんに同じ結果が得られるとは限りません。

非抜歯矯正の考え方は、こちらの動画でも紹介しています。

MEAW矯正の治療期間

当院では、MEAWを用いた矯正治療が1年前後で終了するケースが多くあります。ただし、治療期間は、歯並びの状態、年齢、骨格、歯を動かす距離、顎間ゴムの使用状況、むし歯や歯周病の有無、治療目標などによって大きく異なります。1年以上かかる場合もあるため、精密検査後に個別の見通しを確認してください。

MEAW矯正のデメリット・注意点

1.装置が目立ちやすい

MEAWは複数のループが入った複雑な形のワイヤーを使用し、症例によっては上下の歯に顎間ゴムを掛けます。見た目をできるだけ抑えたい方には、マウスピース矯正などの方が希望に合うことがあります。

2.顎間ゴムへの協力が必要になることがある

MEAWでは、顎間ゴムの使用状況が治療の進み方に影響することがあります。指示された時間どおりに使用できなければ、計画した歯の移動が起こりにくくなるため、患者さん自身の協力も治療の一部です。

3.痛みや口内炎が起こることがある

一般的なワイヤー矯正と同様、装置を調整した直後に歯が動く痛みや違和感が出ることがあります。ループやブラケットが頬・唇の粘膜に接触し、口内炎ができる場合もあります。

4.診断と細かな調整が必要

MEAWはワイヤーを曲げ、歯ごとに力を調整する治療方法です。同じMEAWでも、診断やワイヤー調整によって治療計画は異なります。医院を選ぶ際は、MEAWを扱っているかだけでなく、なぜ自分にMEAWが必要なのかを説明してもらいましょう。

MEAW矯正に向いている人

MEAWが治療計画の候補になりやすいのは、次のようなケースです。

  • できるだけ健康な小臼歯を残したい
  • 奥歯の位置や傾きの調整が必要
  • 開咬など上下方向のコントロールが必要
  • 噛み合わせを含めて治療したい
  • ワイヤー矯正に抵抗が少ない
  • 顎間ゴムを指示どおり使用できる

実際の適応は、口腔内写真だけでは判断できません。レントゲン、歯型、顔貌、歯槽骨、前歯の角度、骨格などを確認して決めます。

MEAW矯正なら抜歯矯正より後戻りしにくい?

非抜歯だから抜歯矯正より後戻りしにくいとは、一概にいえません。治療後の安定性には、治療前の歯並び、歯の移動量、舌や唇などの筋肉、噛み合わせ、加齢、歯周組織、リテーナーの使用状況など、多くの要因が関係します。

MEAW矯正でも、治療後の保定装置(リテーナー)は必要です。

噛み合わせを治すと肩こりや頭痛も改善する?

当院では、矯正後に顎周辺の症状が楽になったという感想をいただくことがあります。しかし、頭痛や肩こりにはさまざまな原因があり、「噛み合わせが悪いから起こる」「矯正すれば治る」と医学的に断定することはできません。症状がある場合は、必要に応じて医科を含む適切な診療科へ相談してください。

MEAW矯正の費用

MEAW矯正は、原則として健康保険が適用されない自由診療です。費用は、全体矯正か部分矯正か、治療範囲、治療期間、使用する装置、調整料や保定装置を含むかなどによって異なります。

装置代だけではなく、治療終了までの総額と、追加料金が発生する条件を契約前に確認しましょう。

You矯正歯科の見解|MEAWは治療手段の一つ

MEAWは特徴のあるワイヤーテクニックですが、当院が最も大切だと考えているのは、装置の名前ではなく診断と治療計画です。

非抜歯で無理なく治療できる方に対して、最初から抜歯だけが選択肢だと考える必要はありません。一方で、非抜歯では口元や歯周組織への負担が見込まれる場合にまで、歯を抜かないことにこだわるのも適切ではありません。

スペース不足、前歯の位置と角度、歯を安全に動かせる骨の範囲、奥歯の位置、上下の骨格、口元、噛み合わせを確認したうえで、通常のワイヤー、MEAW、マウスピース、IPR、奥歯の遠心移動、アンカースクリュー、抜歯などから必要な方法を組み合わせます。

「MEAWだから抜かなくてよい」のではなく、「診断の結果、MEAWを利用することで非抜歯治療が成立する症例がある」という順番で考えることが大切です。
「MEAWで非抜歯にできるか」の診断フロー
この記事の要点

  • MEAWは、複数のループを使って歯を三次元的に調整するワイヤー矯正
  • 症例によっては、MEAWを利用して非抜歯治療を検討できる
  • MEAWを使えば、誰でも非抜歯・短期間で治せるわけではない
  • 装置よりも、スペース・口元・歯槽骨・骨格・噛み合わせを含む診断が重要
  • 治療後はMEAWでもリテーナーによる保定が必要

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MEAW矯正を検討するときに確認したい3つのこと

1.なぜ自分にはMEAWが必要なのか

単に「当院はMEAWを行っています」という説明だけでなく、どの歯を、どの方向へ、何のために動かすのかまで確認しましょう。

2.なぜ抜歯または非抜歯なのか

「抜きたくないから非抜歯」「ガタガタだから抜歯」という説明だけでは不十分です。口元、歯の角度、骨格、歯槽骨、噛み合わせまで含む理由を聞きましょう。

3.MEAW以外にはどのような選択肢があるのか

現在の矯正治療には、MEAW以外にもマウスピース矯正やアンカースクリューなど、さまざまな選択肢があります。一つの装置だけで考えず、複数の方法を比較することが後悔を減らすポイントです。

MEAW矯正についてよくある質問

MEAW矯正なら絶対に歯を抜かなくてもよいですか?

いいえ。MEAWは非抜歯治療に活用できる方法ですが、すべての症例を非抜歯で治せるわけではありません。スペース不足、口元、前歯の角度、歯槽骨、骨格、噛み合わせなどを診断して判断します。

MEAW矯正は普通のワイヤー矯正と何が違いますか?

歯と歯の間に複数のループを作ったワイヤーを使う点が特徴です。ループによって歯ごとに力を調整しやすく、傾き・高さ・前後の位置などを三次元的にコントロールする目的で使用されます。

MEAW矯正は何年くらいかかりますか?

治療期間は症例によって異なります。当院では1年前後で終了するケースが多いものの、必ず1年以内で治るわけではありません。歯並び、骨格、移動距離、顎間ゴムの使用状況などによって変わります。

MEAW矯正は痛いですか?

一般的なワイヤー矯正と同じように、調整後に歯が動く痛みや違和感が出ることがあります。ループやブラケットが頬の粘膜に当たり、口内炎ができる場合もあります。痛みの程度には個人差があります。

MEAW矯正は目立ちますか?

マウスピース矯正よりは目立ちやすい治療です。複数のループを入れたワイヤーを使用し、症例によっては顎間ゴムも使用します。見た目を優先したい場合は、他の装置と比較して検討しましょう。

MEAW矯正は開咬にも使えますか?

MEAWは、奥歯の傾きや高さなどを調整しながら開咬を改善する目的でも使用されます。ただし、骨格性の強い開咬では、外科矯正など別の治療が必要になる場合があります。

MEAW矯正の後もリテーナーは必要ですか?

必要です。MEAWに限らず、矯正後の歯には元の位置へ動こうとする傾向があります。治療後はリテーナーを使用し、歯並びと噛み合わせを安定させます。

他院で抜歯と言われましたが、MEAWなら非抜歯にできますか?

非抜歯へ変更できる場合もありますが、診察なしには判断できません。前歯をどこまで下げたいか、奥歯を後方へ動かせるか、歯を安全に動かせる骨の範囲があるかなどを確認し、抜歯・非抜歯の治療計画を比較する必要があります。

参考文献

  1. Multiloop edgewise archwire technique and denture frame analysis: a systematic review(2020)
  2. Three-dimensional finite element analysis in distal en masse movement of the maxillary dentition with the multiloop edgewise archwire(2004)
  3. A retrospective comparative cephalometric evaluation of non-extraction multiloop edgewise archwire and bicuspid extraction therapies in anterior open bite treatment(2024)

※矯正治療の方法、期間、費用、治療結果には個人差があります。検査・診断の結果、ご希望の治療方法が適応とならない場合があります。一般的な歯列矯正は原則として自由診療です。