MEDICAL GUIDE 診療案内

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矯正の治療期間

「早く、安く、簡単に」叶える矯正治療の期間の秘密について解説していきます。

歯列矯正を検討されている多くの患者様が抱える共通の願いは、「早く、安く、簡単に,きれいに」治療を完了したいというものです。特に、 長期間ワイヤーをつけることへの抵抗 を感じる方は少なくありません。

しかし、一口に「歯列矯正」と言っても、その治療期間は数ヶ月で終わるものから、数年に及ぶものまで幅広く存在します。この期間を決定づけるのは、単なる偶然や体質だけではなく、「治療のゴール」「選択する治療法」「患者様の協力」という明確な「科学」に基づいた重要ファクターなのです。

歯列矯正の治療期間を予測するための具体的な目安と、 期間を短縮・延長させる要因について、専門的な視点から詳しく解説します。

治療の範囲が期間を決定する全体矯正と部分矯正

歯列矯正の期間を語る上で、最も大きな分かれ目となるのが「 治療範囲 」です。
矯正治療は、大きく分けて「全体矯正」と「部分矯正」の2種類が存在します。

数ヶ月で完了する可能性もある部分矯正

部分矯正

部分矯正は、主に「 前歯の見た目だけを改善したい、 審美性を重視 したい」という患者様に適した治療法です。歯科学的にはMTM(部分的な歯列矯正治療)と呼ばれ、前歯の見える箇所だけを綺麗にすることを目的としています。
部分矯正が患者様に喜ばれる最大のメリットは、 治療期間が短い点と、 治療費が安い 点にあります。

治療期間目安

・ワイヤーを使用した部分矯正:平均約6ヶ月 (3~8ヶ月)
・マウスピースでの部分矯正:平均約6~12ヶ月

部分矯正治療法の中には、 前半ワイヤー矯正、後半にマウスピースを使用することで、約3ヶ月を使用することで、 トータルの治療期間を抑えられる方法もあります。多くの場合、トータルの治療期間は約4~6ヶ月くらいで完了するとされています。また、費用も 全体の矯正の1/3~1/5程度 に抑えられる傾向があります。
歯の 捻じれの改善にはワイヤーが効果的で、 隙間の改善微妙な調整 にはマウスピースでの矯正が優れてきます。
ただし、注意が必要なのは、「歯並びが悪くなる 根本的な原因が奥歯の噛み合わせにある 場合が多い」ということです。
そのため、奥歯の噛み合わせまで含めて根本的な治療を行うのが望ましいとされていますが、患者様の要望に応じて、前歯の見た目だけを改善する 部分矯正でも十分なこともあります。
「一部の歯だけを動かす部分矯正なら早く終わるので最高ではないか!」と考える方も多いかもしれませんが、治療前の検査の結果、噛み合わせや歯の状態によっては 部分矯正が困難と判断 される場合もあるため、事前の診断が非常に重要です。
人生という長い時間軸で見た場合、見た目の美しさだけでなく、機能面もトータルで整える 全体矯正こそが、実は最短ルートである 場合も少なくありません。

根本的な治療を目指す全体矯正

全体矯正

全体矯正では、矯正装置を装着している期間(動的治療期間)の 平均は1~3年 が目安となります。
全体矯正は、前歯だけでなく奥歯の噛み合わせも含めて、歯列全体を動かす治療です。出っ歯矯正、受け口矯正、開口矯正、抜かない矯正(非抜歯矯正)など、様々な症例に対応しています。
全体的な矯正治療の場合、部分矯正に比べて動かす歯の量が多くなり、骨格的な調整が必要になることもあるため、治療期間は長くなります。

治療期間目安

・一般的な全体矯正(ワイヤー矯正&マウスピース矯正):1~3年
・歯を抜く矯正(ワイヤー矯正&マウスピース矯正):2~3年
・MEAWワイヤーを使用した全体矯正:約1年

矯正装置の種類と期間の傾向

治療期間は、どの種類の矯正装置を選択するかによっても変動します。

ワイヤー矯正(表側・裏側)

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、持続的な力をかけて歯を動かすことができるため、難易度の高い症例や、特定の技術(MEAWワイヤーなど)を用いることで、 比較的短期間での完了を目指せるものもあります。例えば、MEAWワイヤーを用いた全体矯正は、 矯正治療が終了するまでに約1年(ワイヤー6ヶ月、マウスピース6ヶ月) をめどに矯正治療を行っています。
ただし、ワイヤー矯正の大きなネックとなるのは、ワイヤーの見た目と矯正治療中にワイヤーを使用する違和感やワイヤー交換時の痛みが大きいことです。
また、裏側矯正(舌側矯正)は 表側矯正に比べて治療期間が伸びやすい 治療法になります。なぜなら、裏側は舌があるため違和感が強く、装置が外れやすくなったり、歯の動きがコントロールしにくい側面があるからです。

マウスピース矯正(インビザライン)

マウスピース矯正

インビザラインは、透明なマウスピースを使用するため、目立たず、取り外しが可能であることから、日常生活への負担が少ないことが特徴です。近年、 ワイヤー矯正に抵抗がある方に人気 があります。
インビザラインの治療期間は、 全体矯正で1~3年と幅がありますが、 部分矯正であれば6~12ヶ月 が目安となります。

治療期間を左右する最も重要な5つのファクター

「この治療法なら必ず〇年で終わる」と断言しにくいのは、患者様自身の歯並びの状態や、治療への取り組み方によって期間が大きく変動するためです。特に重要なファクターを解説します。

  • 歯並びの程度(難易度)と非抜歯の選択

    元の歯並びのデコボコ具合やすき間の程度は、治療期間に直結します。
    また、「歯を抜きたくない」という要望は多いですが、歯並びの改善には「隙間」が必要なため、非抜歯矯正では、歯を動かすためにスペースを確保する高度な技術(奥歯の遠心移動など)が必要になります。
    非抜歯矯正はメリットがある一方で、 避けて通れない限界(デメリット) もあります。
    理想の仕上がりを実現するには、高度な技術が必要であり、クリニックの技術力によって 治療の適用や効果が左右される ため、複数の専門医に相談し、納得のいく治療法を選ぶことが大切です。

    歯並びの「複雑さ」と抜歯の有無

    治療期間を左右する最も分かりやすい要因の一つが、 治療前の歯並びの複雑さ(難易度) です。
    複雑さの程度によって、期間の目安は変わってきます。
    特に、歯を並べるスペースを確保するために 抜歯が必要なケースは、抜歯せずに済むケースと比較して、骨の中での歯根の移動距離が長くなるため、どうしても 治療期間が長くかかる 傾向にあります。

    骨格的な問題の有無

    歯並びの問題が単に歯の生える位置だけではなく、顎の骨の位置や大きさといった 骨格的な問題に起因する 場合、治療計画はより慎重にならざるを得ません。
    多くのケースでは、歯の移動のみで対応が可能ですが、顎の位置が極端にずれているなどの重度な骨格的問題を抱えている場合には、診断によっては 外科的矯正治療(手術) が必要なケースがあります。外科手術を伴う場合、計画や治療ステップが増えるため、期間も長くなる傾向があります。

  • 患者様の協力度(マウスピースの装着時間)

    ・特にインビザライン矯正において、治療期間を正確に守る上で最も重要な要素が 装着時間 です。
    インビザラインを成功させるためには、マウスピースを食事や歯磨き以外の 1日20時間以上装着 することが必要です。
    もし長期間マウスピースを外してしまうと、計画通りに歯が動かず、治療期間が延びることにつながります。追加の費用がかからないようにするためにも、 決められた装着期間を守ること が極めて重要です。
    どれだけ優秀なドクターが計画を立てても、患者さんご自身の努力が不可欠です。
    患者さんの協力度も、治療期間を左右する非常に大きな要因の一つです。

    ・定期的な来院の遵守
    1~2ヶ月ごとの定期的な通院を守ることで、計画通りにワイヤー交換や調整を行うことができ、治療の遅れを防ぎます。
    毎月きちんと来院している方は早く終わる傾向にありますが、連絡なしに突然3ヶ月以上来院が途絶えてしまうと、交換すべきワイヤーがそのままになっていたり、治療計画を変更する可能性があるため、治療期間が延びる原因になります。

  • 年齢

    これは、体の 細胞代謝のスピードと密接に関わっています。例えるなら、若者と40代後半の人間が走る速さの違いのようなものです。細胞が活発に動く10代や、特に15~16歳くらいは歯が動きやすく、治療が非常にスムーズに進みます。逆に、年齢を重ねるほど、歯の動きは遅くなる傾向があります。年齢が上がるほど期間が長くなる傾向は共通しています。(特に抜歯矯正)

  • ドクターの技術や判断能力(経験値)

    ドクター

    矯正の治療期間を考える上で、 最も大きなファクターは「ドクターの技術や判断能力(経験値)」 です。あるドクターは早い、別のドクターは綺麗、といった個人差があるからです。
    歯列矯正で難易度が高い治療においては、歯科医師の 経験や技術が治療期間に大きな差をもたらす要因 となります。
    矯正経験の浅い医師の場合、治療計画通りに歯が動かなかったり、予期せぬトラブルが発生したりすることで、結果的に治療期間が想定よりも長く伸びてしまうケースがあるため注意が必要です。 適切な計画と高度な技術を持つドクター に任せることは、治療をスムーズに進めるための重要な要素です。

  • 重要な保定期間を含めたトータル期間

    歯が動く装置の装着期間が終わると、歯並びを安定させるための「 保定期間 」へと移行します。この保定期間は、装置装着期間と同じく2年から3年ほどかかります。
    つまり、歯列矯正治療全体として、トータルでは3年から6年という長期的な時間軸で矯正治療と向き合う必要がある、と考える必要があります。

後悔しない治療期間とゴールを設定するために

ご自身の矯正治療が何年かかるかを予測し、後悔のない選択をするためには、以下の点を重視してください。

目指すゴールを明確にする

前歯の審美性のみか、奥歯の噛み合わせを含めた全体的な改善か。

メリットとデメリットの説明

信頼できる矯正専門の歯科医師は、治療のメリットだけでなく、デメリットもしっかり説明してくれるはずです。

セカンドオピニオンの活用

複数の医院で相談し、ご自身の要望に合った治療期間と費用を踏まえた治療法を選ぶことが大切です。

セカンドオピニオンの活用

治療期間について詳しく見てきましたが、最後に最も重要な視点をお伝えします。それは、「何年かかるか」という期間だけに縛られないことです。
私たちが本当に大切にすべきなのは、 矯正後の何十年という「人生レベル」の時間軸です。

「人生100年時代」と言われる現代において、矯正治療をすることで、その後の人生においてもコンプレックスなく思い切り笑えるか、自信を持って話ができるか、そして食事をストレスなく楽しめるか、といった 生活の質(QOL)全体に影響を及ぼします。

矯正治療とは、単に歯並びを整える技術的な仕事ではなく、患者さんの「その後の人生の質を高めていく仕事」です。

もし、あなたが矯正治療を検討されているのであれば、治療期間の長さだけに惑わされず、まずは 経験と実績のある矯正歯科医院のカウンセリングを受けてみることを強くお勧めします。精密な診断と適切な計画こそが、あなたの理想の笑顔と健康な未来への最短ルートとなるでしょう。